「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドライン」が策定されました
厚生労働省は、10月17日、事業者、労働者、産業医、健康診断実施機関および健康診断の実施に関わる医師等に、リスクアセスメント対象物健康診断の趣旨・目的を正しく理解し、その適切な実施が図られるよう、基本的な考え方と留意すべき事項を示した「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドライン」を策定し、公表しました。
◆「リスクアセスメント対象物健康診断」とは?
事業者による自律的な化学物質管理の一環として、労働安全衛生規則の改正により設けられたものです(令和6年4月1日施行)。この健康診断は、リスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う業務に従事する労働者を対象とする新たな健康診断です。
◆概 要
事業者は、リスクアセスメント対象物による健康障害の防止のため、リスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師または歯科医師(医師等)が必要と認める項目について、医師等による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければなりません(義務)。
また、事業者は、一定の業務に従事する労働者が、濃度基準値を超えてリスクアセスメント対象物にばく露したおそれがあるときは、速やかに、医師等が必要と認める項目について、医師等による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければなりません。
例えば、①漏洩事故等により、濃度基準値がある物質に大量ばく露した場合や、②呼吸域の濃度が、濃度基準値を超えていることから、工学的措置の実施または呼吸用保護具の使用等の対策を講じる必要があるにも関わらず、必要な呼吸用保護具を使用していないことが判明した場合などに該当する状況が生じた場合などで、労働者が濃度基準値を超えてばく露したおそれがあることから、速やかにリスクアセスメント対象物健康診断を実施する必要があるとしています。
◆健康診断の費用負担
リスクアセスメント対象物健康診断は、業務による健康障害発生リスクがある労働者に対して実施するものであることから、その費用は事業者が負担しなければならないとしています。派遣労働者については、派遣先事業者が費用を負担することになります。
【厚生労働省「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドラインの策定について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35778.html