人手不足に陥っていない企業はどういった施策をとっているか

総務省の統計では、2022年12月時点で、日本の15~64歳人口は前年同月比0.28%減、人数にすると20万8,000人も減っています。また、これから働く年齢になる15歳未満人口は同29万3,000人も減少しています。総人口の推移を見ると、2019年以降加速度的に減少しており、2023年5月時点の概算では、総人口は前年同月比57万人減となっています。

◆人手が不足していない企業がしていること

新型コロナの5類移行を受け、多くの企業で人手不足感が高まるなか、不足していないという企業もあります。帝国データバンクのアンケート調査の結果によると、「人手が不足していない要因」(複数回答)として、主に次のような施策を挙げた企業が多くありました。
(1)賃金や賞与の引上げ(51.7%)
(2)働きやすい職場環境づくり(35.0%)
(3)定年延長やシニアの再雇用(31.2%)
(4)福利厚生の充実(26.6%)
(5)公平で公正な人事評価(22.0%)
(2)の「働きやすい職場環境」とは清潔保持や休憩スペース、社内相談窓口の設置などです。また、(4)と(5)は、労働者が自身の成長を感じられたり、安心できる職場にあるという施策です。

◆賃上げの必要性

世界的な物価高騰を受け実質賃金が低下するなか、賃金や賞与の引上げに取り組めない企業(あるいは取り組む姿勢を見せていない企業)では、従業員満足度や安心感が低下して優秀な人材が流出し、企業の競争力低下から新規採用もおぼつかなくなる、運よく採用できたとしても人を育てる余裕がなく早期離職……、というような悪循環に陥ります。
「人は石垣、人は城」という古語にもある通り、会社を支える一番の力は、信頼できる人の力です。会社を信頼してくれる従業員が1人でも多く育つよう、会社は自らの進む先を示しつつ率先して変わるべきでしょう。

 

【帝国データバンク「企業における人材確保・人手不足の要因に関するアンケート」】
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230506.pdf