デジタル人材について考える際に必要な“軸”
労働政策研究・研修機構(JILPT)から「デジタル人材の能力開発・キャリア形成に関する調査研究」という調査研究の結果が公表されています。
◆あいまいな「デジタル人材」の定義
この調査では、「デジタル社会化」が政府・民間の共通した目標となるなか、「デジタル人材」という用語は近年急速に話題となる一方で、その意味内容が多様・曖昧化しているため、それがどのように捉えられているかを明らかにする、ということがテーマの一つとなっています。
◆2つの軸
企業が必要とする「デジタル人材」や「IT人材」のタイプは、
①デジタル環境を「つくる人材」と「つかう人材」という軸と、
②所属する企業がIT企業か非IT企業かという軸の2つの軸によって形成される人材タイプの中に位置づけることができる、というのが現時点でいえるとのことです。
各社のDXの進展度合いの違いによって、あるいはIT企業とユーザー企業では求める人材が違うということですが、考えてみれば当然のことのように思われます。しかし、実際に自社でDXを進める段階になると、混乱したり方向性を見失ったりしがちです。
同調査でも、「勤務先の人事労務管理や所属部門の上司のマネジメントのあり方がリスキリングへの取組みに影響をあたえることといった知見が得られている」と述べられています。自社のDX対応やリスキリング等のこれからの人事施策を進めるうえでは、こうした区分けを頭に入れて取り組んでいく必要があるでしょう。
この調査では、他にもデジタル人材不足への対応にどのように取り組んでいるのか、IT技術者自身はどう考えているのか等について、これまでの様々な調査の結果をもとに考察していますので、自社の施策を考えるうえで参考となるでしょう。
【(独)労働政策研究・研修機構「デジタル人材の能力開発・キャリア形成に関する調査研究」】
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2023/268.html